高校で落ちこぼれないようにするには

勉強のレベルが急激に上がる

 高校の勉強は、中学に比べると格段に難しくなると言われています。実際、塾生を見ていても、中学生の頃はけっこう勉強が得意だった生徒が、高校では授業についていくだけで精一杯になってしまうようなケースは少なくありません。これにはいくつか理由が考えられます。

 ①内容自体が難しくなる
 身も蓋もない言い方になってしまいますが、高校での学習内容が難しすぎるということが挙げられると思います。英語は単語数も増え、長文がさらに難解になります。大まかなルールだけだった文法も、個々の単語の細かいニュアンスの違いを学ぶ内容に発展します。数学や理科(物理・化学)は具体的な数字よりも文字による説明が多くなり、より抽象的になるので、理解が難しくなります。

 ②量が多い
 高校生になると、国語は「現代文」と「古典」に、数学は「数Ⅰ」と「数A」、理科は「物理」「生物」「化学」「地学」というように細分化されます。それでいて、それぞれが中学生の時の1科目に匹敵するほどの分量があります。中学までは毎日予習や復習をしなくても問題なかったという人でも、高校ではそうもいかないでしょう。
 学ぶ科目が増えるということはすなわち、1回の授業のスピードが中学よりも速くなるということでもあります。予習や復習の時間を確保して、しっかり勉強していかないと、すぐについていけなくなってしまいます。

 ③テストで良い成績が取りにくい
 高校は入試を経て入学してきているので、クラス内の生徒たちの学力レベル差が少なく、定期テスト等で高い順位を取りにくくなります。そのため教師側も生徒間の差をつけるために、定期テストなどは中学よりも難しい内容で作成される場合がほとんどです。中学時代に定期テストで苦労しなかった生徒でも、高校では苦労するかもしれません。高校は、油断していると自信を失いやすい環境と言えます。

中学の勉強が重要

 ここまで読んで、高校の勉強が大変だということは理解できたと思います。
 ここからは高校の勉強で失敗しないためのコツを紹介します。中学生も高校生も意識してほしい勉強時の心構えです。

 ①場当たり的な解き方をなくす
 数学のように「公式」が存在する科目にありがちなのが、原理を理解しないまま公式に当てはめて解くという、場当たり的な解き方です。高校の数学では、公式そのものが難しいことが多いので、その成り立ちを理解して、公式を(暗記するのではなく)作り出して利用するということが必要になります。中学数学でも、どのような場合にどの公式を使うのか、またその理由は何なのかをしっかり理解していないと、徐々に解けなくなってしまいます。「なぜその答えになるのか」をしっかり理解しながら勉強を進めていくことを意識しましょう。

 ②分からないところを放置しない
 中学では、特に英語は知識の積み重ねが重要な科目です。中3で英語が分からない時、原因を探ってみると中1や中2の内容まで遡って復習しないといけなくなる場合がよくあります。高校では英語だけでなく、数学や理科も積み重ねの要素が多くなります。分からない部分をそのままにしたり、テストが終わったからといってすぐに忘れてしまったりすると、先に進んだ時に行き詰ってしまいます。中学のうちから、分からないところを放置せず、先生に聞いたりして解決しておく習慣を身に付けておくべきだと思います。

③自分に足りないものを常に考える
効率良く勉強するために必要なのは、自分に足りないものを考えながら勉強するということです。分かる問題ばかりやれば、全部正解になって気分はいいでしょう。しかし、それでは学力は伸びません。自分が理解できていない、もしくは苦手としている問題に集中的に取り組むことで、初めて効果は出るものです。

④「わかる」だけでなく「できる」ようにする
 解説を読んだり説明を聞いたりすると、「理解できた!わかった!」と思える瞬間は多くあると思います。しかし、その段階で終わらせず、自分だけでも解けるかどうかを必ず試してください。それで解ければ本当に理解したことになりますし、もし解けなくても、再び解説を聞いた時に、前より深く理解でき、その後は自力で解けるようになるでしょう。どちらにしても、自分で手を動かさなければ何も得られないということです。